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2022年12月02日

割烹料理は包丁さばきが鍵? 割烹と包丁は江戸時代から続く伝統的な文化

割烹料理で使われる包丁というと、魚を繊細に切り分けるために数種類の包丁を使い分け、食材によってさまざまな形の包丁を使うイメージがあるかもしれません。割烹料理は日本の伝統ある料理の一つでもあり、その歴史の中で進歩を果たしてきました。包丁もその歴史の中でさまざまな研究や改良がなされ、今の割烹料理があります。今回はそんな割烹料理で使われる包丁に焦点を当てて割烹の良さを紹介します。

1.包丁の歴史

割烹料理で使われる包丁はもともと刀鍛冶の職人の技術を応用して作られたといわれています。江戸時代になり戦乱が収まった影響で刀鍛冶のほとんどは廃業しました。それから刀鍛冶は包丁作りの職人に転換していきます。また各種工業でも刃物は欠かせなかったため、歴史を経てさまざまな用途に応じた刃物も製造されようになりました。その中で、割烹料理で用いられる包丁も多種多様な変化を遂げて今日に至ります。

2.割烹で用いられる包丁

割烹料理で用いられる和包丁は大きく分類すると3種類あります。

  • 柳刃
  • 薄刀
  • 出刃

それぞれ用途が違い、職人たちはこれらの包丁を切る食材に合わせて使い分けています。

2-1. 柳刃包丁

割烹料理で使われる食材で代表的なのが魚ですが、魚の切り方一つでも包丁にはこだわりを持ちます。割烹で用いられるものは基本的に研ぎやすく、切れ味の鋭い片刃の物を使います。魚の場合は細胞が潰れると旨味が逃げるので、潰さないように「切り分けること」に適した包丁を使います。このように繊細な切り口を必要とするときに用いられるのが「柳刃」の包丁です。

2-2. 薄刀包丁

野菜を細かく薄く均等切るために刃の刀身が曲線になっているのがこの「薄刀」です。なぜ曲線になっているのかというと、人体の構造上、腕を一定のストロークで動かす、その動きは直線ではなく必ず湾曲するからです。ほんの少しですが刀身を鎌のような曲線にすることで自然な腕の動きで細かく食材を切り分けることができます。

2-3. 出刃包丁

魚の硬い骨だったり、肉の中にある背骨などを骨ごと切り落としたりするときに用いる包丁です。上記二つの包丁が繊細さを要する切り方を得意とするならば、包丁の重さを利用した圧倒的な力技を得意とするのがこの「出刃」の包丁です。骨切りと呼ばれる技術にはこの出刃包丁の大きさと重さが必須になります。

3. お店の味を支える向板の包丁さばき

割烹料理の厨房には向板(むこういた)といわれる食材の調理と管理を担当する者と、火の扱いを専門とする煮方(にかた)がいて成り立ちます。

向板は割烹料理の主役にもなる魚の目利き、管理、調理まで全てを担当します。魚はすぐにさばくのではなく、少し時間を置いたほうが旨味は出ます。このような見極めまでが向板の仕事です。計算された食材の切り分けと煮方の熟練の火加減で割烹料理の味は決まるのです。

4.少ない食材をいかに美しく見せるか

和食の歴史は、簡素と見栄えの研鑽によって成り立ってきました。例えば割烹料理の代表である鱧を例に挙げてみましょう。

棒だら、身欠きにしんは江戸時代当初の食材の中では貴重なタンパク源でした。それらをどのようにしたら、よりおいしく食べられるか知恵を絞った結果に生まれた料理が、海老芋と棒だら、にしんと茄子といった独自の割烹料理です。

また魚を骨ごと叩き切る技術の確立や魚の骨抜きの包丁さばきなども、より簡素に見栄え良く、食べる人が手間なく食べられるかを追求した結果、生まれた発想です。和食の文化は職人たちが常に料理を食べる人たちのことを思い、見栄え良く、そして手を煩わせず食事を楽しめるかの追求の歴史ともいえます。

割烹料理は職人たちの技術と発想、そしてそれを支える和包丁という道具があってこそ成り立つのです。

5.まとめ

割烹料理は日本の伝統ある料理の一つでもあり、その伝統はさらに進化を続けています。全ては割烹料理を愛し、必要としてくれる人たちのために職人たちは技術を磨き、新しい発想を取り入れ続けています。そしてその技術を確かに支えるのが「包丁」です。

銀座で割烹料理をお探しでしたら、ぜひ割烹料理屋「佐々木」にお越しください。スタッフ一同丹精込めたお料理を用意してお待ちしております。