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2022年12月12日

盛り付けるだけが用途ではない! 目でも楽しむ割烹料理と食器の関係


割烹料理では食器も重要な役割を担っています。食器は単に料理を載せる物ではなく、真に完成された料理は食器も含めて一つの作品となっているのです。今回は割烹料理で使われる和食器の魅力や、割烹料理での食器の役割などについて詳しく解説していきます。

1.和食器と洋食器の違い

洋食器に比べて、和食器は種類やデザインが非常に多く、目でも楽しめる食器といわれています。これは洋食と和食のスタイルの違いに大きな理由があります。洋食料理のコースは基本的に一皿ずつ提供されます。サラダが出され、その皿を食べ終わると皿が下げられて次の皿に盛られた料理が運ばれてきますので、テーブルには常に一つの皿という形式が一般的です。

和食、特に割烹料理に分類される懐石料理や会席料理のコースは、料理は洋食のコース同様順々に運ばれますが、前の料理が残っていても次の料理が提供されます。つまり最終的にすべての料理が並んでも、並べられる、そして食べやすいように考えられています。このため割烹料理などで使用される食器は、さまざまな大きさやデザインに細分化されているわけです。

2.素材や作り方にも違いが

また、洋食器と和食器にはさらなる違いがあります。それは、洋食器は磁器が多いのに対し、和食器は陶器や漆器が中心となります。

これは洋食と和食の食事に関する方法の違いが影響しています。洋食は主にナイフとフォーク、スプーンを使います。そのため食器にはナイフで切り付けても表面に傷がつきにくい磁器が使用されるケースが多くなります。

一方、和食は当然ながら箸を利用して食事をします。その箸も木製であり、食事中に食器に傷がつくことはまずありません。そのため和食器は粘土を材料とし、低温で焼き上げる陶器を使用することが多く、石を原材料とした硬度の高い磁器はあまり多くありません。

3.和食器と洋食器の食文化による違い

和食器と洋食器は、素材や作り方の違いのほかに、食文化による違いもあります。それが形状です。洋食のコース料理などを思い出してもらえば分かるかと思いますが、洋食ではスープも比較的平たいスープ皿が使用されることが多いかと思います。一方和食の汁物はお椀など深さのある器、また陶器や磁器ではなく漆器が用いられることが多いかと思います。

これは和食と洋食の食文化の違いに理由があります。洋食は上でも触れた通り、ナイフ、フォーク、スポーンを利用して食事をします。そのとき、食器を持ち上げることはなく、皿はテーブルに置いたまま食事をします。和食の場合、片手に箸を持ち、そしてもう一方の手で椀や器を持ち上げて食事するというマナーがあります。このため、特に汁物やご飯などは、片手で持ちやすい大きさ、形状をしています。

4.和食器には季節を楽しむデザインも

洋食器にも美しいデザインの食器は少なくありませんが、そのデザインに季節感が色濃く反映されている点では和食器のほうが上といっていいでしょう。前述の通り、長くお客様の前に置かれることが多い和食器は、食器自体もデザインにこだわっている物が多くあります。特に「四季」があり、季節を強く感じられる日本では、その食器からも季節感を感じることができます。

非常にシンプルな例を挙げれば、和食器はその形や柄、色で季節感を表します。春であれば桃色や桜、夏は新緑、秋は落ち葉や紅葉、冬は雪景色など……もちろん調理法で表現をすることもありますが、その食器自体で表すこともあります。

銀座の割烹屋佐々木では、季節感を感じられる食材、調理法はもちろん、その食材に合った日本各地から取り寄せた日本酒などを提供しています。そしてそんな料理やお酒にあった食器を使うことにもこだわりを持っております。

5.まとめ

割烹料理を提供するにあたって、食器は重要なアイテムになります。料理を盛り付けるのはもちろん、提供されたお客様の食べやすさ、扱いやすさも考えて食器を選ぶ必要があります。さらに食器には、その物自体から季節感を感じられるようなデザインもあり、食器選び自体も料理人の腕やセンスが試されるといっても過言ではないでしょう。割烹料理屋「佐々木」では、2人の若い料理人が、単においしい料理を提供するだけではなく、視覚的にもおいしい料理となるよう、食器もこだわりを持って選び、提供しております。