割烹料理で豆腐が使われるのはなぜ? 江戸時代からの豆腐の歴史
家庭ではよく使われる「豆腐」は、日常的によく使われる食材の一つです。今や庶民の味ともいえる豆腐ですが、高級料理と名高い会席料理でも豆腐は使われています。これには理由があり、豆腐が食べられるようになった当時は「特別な食べ物」として扱われていたのです。本記事では、割烹料理でも使われる豆腐の歴史や、料理店でも作られる豆腐メニューについてご紹介します。
1.江戸時代初期からの豆腐の歴史
大豆を使用した豆腐はタンパク質やビタミン、カルシウムに食物繊維など、現代社会で不足しがちな栄養素を多く含んています。中国から伝えられ、奈良時代には寺院で「精進料理」として振舞われるほど歴史の古い食べ物です。
当時は絹豆腐などの種類がなく、固い木綿豆腐のみが取り扱われていました。一般に広まっていったのは江戸時代の初期あたりで、今よりも大きい木綿豆腐が販売されていました。お店での販売だけでなく、行商人が長屋まで販売しに来ていたので、当時は食べ切れる程度の豆腐を購入していたといわれています。
しかしこの頃の豆腐は今よりもずっと固く、水切りしなくても串に刺して食べることができました。こうして生まれたのが「豆腐田楽」です。江戸時代では料理屋でも人気のメニューだったとされています。庶民の間では豆腐田楽が多く食べられていましたが、3代将軍・徳川家光の食卓では豆腐の汁物や入り豆腐、疑似豆腐やさわさわ豆腐など、さまざまな豆腐料理が食べられていたことが分かっています。贅沢品の独占を行っていた時代でしたが、現在では多くの料理が知れ渡り現在に至っています。
2.会席料理で使われるようになったワケ
江戸時代の中ごろに日本人の生活に根付きましたが、それまでは農民には高価なものでした。そのため、豆腐はお正月などのお祭りごとやお祝い事で食べる「ハレの日の料理」とされていました。
会席料理も同様に「ハレの日」に食べられる料理であり、このことから豆腐は会席料理の一つに仲間入りしたのです。ハレの日には豆腐のほかにもこんにゃくやがんもどき、しいたけ、ごぼうが振舞われました。
これらの料理は今でも会席料理として振舞われています。また、ハレの日にはお米やお酒も飲むことができるので、会席料理は「お酒を楽しむ料理」ともされているのです。ここまで豆腐が特別なものになったのは、徳川家光による「慶安御触書」が発端だったとされています。
これには豆腐は農民に製造、食べることを禁じる旨が記載されています。このような理由から、今でこそ手軽に食べられる豆腐は会席料理の一つに加えられているのです。
3.豆腐を使ったメニュー
豆腐を使った料理は数多く存在しており、江戸時代に書かれた「豆腐百珍」にはなんと100種類もの豆腐料理が紹介されています。もともとバリエーションのない豆腐料理でしたが、この本のおかげで今の豆腐料理が生まれました。その中でも割烹料理として作られる豆腐メニューは以下の通りです。
・味噌田楽
・揚げ出し豆腐
・卯の花
・がんもどき
小さく添えられた味噌田楽は一般的な豆腐料理で、会席として食べたことのある方は多いでしょう。煮物と一緒に出てくるがんもどきも豆腐の加工品です。このほかにも湯葉などさまざまな豆腐料理があります。割烹料理店によっても提供している豆腐料理はさまざまで、お店ごとのこだわりの料理を堪能できます。水分の少ない田楽から口の中でとろけるような豆腐など、通常では食べられない豆腐料理も魅力の一つです。
4.まとめ
割烹料理に使用される豆腐は、江戸時代の徳川家光の「慶安御触書」によって、贅沢品として扱われてきました。しかし、贅沢品だったからこそハレの日の料理として大切に食べられ、現在の「会席料理」の形になったのです。
割烹料理屋「佐々木」では、お客様に合わせた料理を提供しています。豆腐料理もその一つであり、日々厳選された豆腐料理の提供もできます。割烹料理店の豆腐料理を堪能してみたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。