食べ物
2022年12月02日

割烹における焼き物とは? 焼き方の種類や夏が旬の魚も解説!


割烹とは、会席料理・精進料理・懐石料理などの呼称として用いられる言葉です。割烹と聞くと、和食の高級料亭などを思い浮かべる方も多いでしょう。割烹における焼き物は、シンプルであるからこそ熟練の技術が光り、実力が浅い場合にはその粗雑さがすぐに露呈する繊細なメニューです。本記事では、割烹の焼き物について解説します

1.割烹における「焼き物」とは?

割烹における「焼き物」とは、文字通り、食材を焼いて調理し提供するメニューを指します。火で食材を炙る料理は非常にシンプルかつプリミティブな調理法です。しかしシンプルだからこそ板前の料理の技術や、料理に対する姿勢、感性がそのまま表れてしまう繊細な調理法でもあります。

日本料理において「焼き物」とは、基本的には魚の焼き物のことを指しますが、魚の焼き物には、それぞれの魚に合った調理方法で、決められた手順に沿って順序立てて焼いていくことが求められます。長年の修行によって、魚一つひとつの最適な調理法の習得が必要です。

1-1.【焼き物の焼き方の定番】塩焼き・照り焼き・味噌焼き

割烹においての焼き物の定番といえば、まずは「塩焼き」でしょう。塩を振って焼くだけという数ある焼き物の中でも一番シンプルな焼き方ではありますが、味付けが少ない分、鮮度や塩加減、焼き加減がシビアに問われる調理法です。

塩焼きでは、身だけでなく、形を整えるために背びれ・尾びれ・胸びれなど、魚の各部についているヒレの部分に「化粧塩」と呼ばれる塩をしっかりとつけます。化粧の名の通り、形を整え、塩がうっすらとついていることで焼き上がりを美しく見せる効果があります。

「照り焼き」は、酒・みりん・濃口醤油・砂糖を混ぜた焼きだれに魚の身を漬け込んで焼く調理法で、焼きだれに漬けることで文字通り「照りをつける」焼き方です。白身魚との相性が良く、甘辛い味わいで柔らかく仕上がります。見た目も艶やかで味もしっかりとついており、人気の焼き方の一つです。

「味噌焼き」は焼くときに味噌を塗ったり、味噌にあらかじめ魚を漬け込んだりして焼く調理法で、味噌の風味がしっかり効いた焼き物に仕上がります。白味噌を用いて焼く場合は「西京焼き」と呼び、また違った風味が楽しめます。

1-2.【テクニックが要求される焼き方】姿焼き・包み焼き

「姿焼き」は、焼き方の手法というよりは魚をそのままの姿で焼くことを指します。姿焼きの際は串の打ち方が重要で、串が途中で出ないように、中骨に沿って串を通さなければいけません。また、魚が泳いでいるようにうねりをつけた串打ちは特に見た目にも美しく、「踊り串」「うねり串」「のぼり串」などといいます。

「包み焼き」は文字通り魚を包んで蒸し焼きにする焼き方で、包むときには和紙やアルミホイルを用います。包み焼きの名の通り、風味・旨味をしっかり閉じ込めて焼くことができるので、香り豊かでジューシーに仕上がりますが、包んで焼く分、火の通りの加減が難しく、技術が必要です。

1-3.【2種類以上の食材を合わせて焼く】のせ焼き・挟み焼き

「のせ焼き」は複数の食材を乗せて焼く調理法で、複数の食材を合わせて食べることによって、風味に変化をつけ味の変化を楽しめる効果を持ち、見た目を彩る効果もあります。

「挟み焼き」は、複数の食材を交互にあるいはランダムに挟む焼き方で、挟むことによる彩りを楽しむために、一般に切り口を入れて断面が見えるように仕上げます。見た目が博多帯の織り柄に似ていることから「博多焼き」ともいいます。

2.割烹で出される6〜8月の夏が旬の焼き物とは?

焼き物とは一般的に魚の焼き物を指し、魚は鮮度が大事なのと同時に、旬であるかどうかがかなり重視されます。夏に旬を迎える魚にもさまざまな種類がありますが、基本的に白身魚が多いです。

2-1.塩焼きにするとおいしい!「あゆ」「かます」「はも」

夏に旬を迎える魚は、身が柔らかく脂が乗って甘い魚が多いです。中でもあゆは塩焼きの定番であり、特に7月の若あゆが美味とされ、身も骨も柔らかく、塩焼きにしてそのまま食べるのがお祭りの定番ともなっています。

また、かますは脂の乗った柔らかい身が特徴で、焼き魚にしても、刺身でもおいしい魚です。かますの旬は種類によって異なり、夏ではあおかます(やまとかます)が旬となっていますが、夏のかますは比較的脂が少ないこともあって、塩焼きや干物にして食べられることが多いです。

はもは関東よりも関西でよく食べられますが、夏のはもは動きが活発になり、引き締まった身を持ち、非常においしくなります。毒を含むため刺身では食べられず、湯引きや白焼き、塩焼きにして食べられるのが一般的です。

2-2.味噌焼き・西京焼きもおいしい「すずき」「さわら」

すずきの旬は6〜8月で、夏の白身魚といえばすずきというくらい、広く食べられています。出世魚で生後3年ほどの成魚をすずきと呼びます。すずきは白身魚ということもあって焼き物としての相性は抜群です。ムニエルが定番ですが、西京焼きにしても非常においしい魚です。

西日本、特に瀬戸内海地域で旬となるさわらは、肉質が非常に柔らかく、味噌漬けが人気です。西京焼きも好まれます。回遊魚であることから地域によって旬は異なり、関東では「寒鰆」と冬が旬でもありますが、年中通しておいしく食べられる魚で人気の魚です。

3.まとめ

割烹ではその時々の旬で新鮮な食材を仕入れて調理するので、上品な和食を日々最適な形で味わうことができます。

銀座の割烹料理屋「佐々木」では、メニューがございません。毎日の仕入れによって、厳選された食材のみをお客様にご提供しているため、「おまかせ」というスタイルを取っています。毎日違った旬の料理を味わうことができ、お酒などお飲み物も、お好みや料理に合わせて最適なものをご提供しています。東京で旬の焼き物を堪能するなら、ぜひ当店に足を運んでみてください。