食べ物
2022年11月30日

割烹における「小鉢」とは? 旬の食材を生かした小鉢の種類とおすすめメニューを解説!


割烹とは、会席料理・懐石料理・精進料理などを総称した言葉として広く用いられています。割烹と一口にいっても、提供される料理にはさまざまな種類があり、今回取り上げる「小鉢」にも、板前のこだわりが詰まっています。今回は、割烹での「小鉢」の役割や種類、旬の食材などを紹介・解説していきます。

1.割烹における「小鉢」とは?

割烹は、もともとは割(さ)き・烹(に)るといった調理法を表す言葉で、「割く」は包丁で切ることを指し、「烹る」は煮付けることを表した調理法に大きく関わる言葉でした。しかし江戸時代に、江戸の郷土料理として親しまれた江戸料理に対して上方(京都・大坂)の料理を「割烹」と呼び習わしたことが由来となって、割烹=高級料理のイメージが定着しました。

現在では和食の高級料理全般を指す呼称として知られており、企業の役員や政治家といった社会的地位の高い人たちが割烹をよく利用しています。また、一般の人でも特別な機会に割烹を食べるといった高級感、特別感を楽しみに「割烹」が利用されることが多いです。

割烹における「小鉢」とは、小さな皿に小さく盛られた料理を指し、和食の付け合わせやお通しとして広く知られているものです。漬物やおひたし、ちょっとした煮物や炒め物など種類は非常に多く、箸休めや前菜として日本料理には欠かせないものとなっています。

1-1.小鉢の種類①野菜や海藻の煮物や和え物

まずは、小鉢としても比較的人気の高い、野菜や海藻を用いた小鉢をご紹介します。小鉢はお弁当などにも添えられることが多いですが、もともとは和食の膳にも小鉢が数種類は必ず添えられており、お弁当の付け合わせとしても親しまれるようになっています。

中でも海藻、野菜を用いた小鉢は人気で、「ひじきの煮物」「ほうれん草のおひたし」「春菊のおひたし」「青梗菜の白だし和え」など、食材を煮込んだり出汁と和えたりして風味や甘みを付けて食されることが一般的です。

1-2.小鉢の種類②魚介や肉と野菜など複数の食材を合わせたもの

中でも前菜(懐石料理や日本料理のコースでいう「先付」や「八寸」)向けの小鉢では、魚や四つ足系の動物の肉を、野菜やきのこなどと一緒に和えたり、煮たりしている小鉢もあります。野菜ときのこを合わせたヘルシーな小鉢も人気です。

例としては、豚肉を水菜と和えて煮立たせたものや、菜の花とスモークサーモンの小鉢、サンマとナスの煮浸し、ほうれん草とひき肉のバター煮など、肉が入っていることで味もしっかりとした小鉢が挙げられます。

また、揚げ蓮根と豆腐、玉ねぎと人参、青梗菜と舞茸など野菜同士や野菜ときのこ、野菜と豆腐といった材料の組み合わせで味や風味を豊かに彩ったものも、ヘルシーでおいしい小鉢となります。

1-3.和食ならではの食材を用いたさっぱりとした小鉢

小鉢には日本ならではの食材を用いたものが多く、歴史を通じて日本料理を彩ってきました。例えば壬生菜は京料理でよく用いられる食材で、京の伝統野菜として知られています。水菜の一種であり、おひたしや塩漬け・浅漬けなどに用いられます。

中にはそうめんやそばを用いたものもあります。特にそうめんと長芋、トマト、大葉やみょうがなどを和えた小鉢は、夏にぴったりで、涼やかにさっぱりとさせてくれます。冬の季節には暖かい煮込みなどを小鉢とすることも多く、季節に応じた小鉢を用意することで、彩りが生まれるだけでなく食も進みます。

2.夏にぴったりの小鉢とは? 旬の食材を使った小鉢をおいしく食べよう

割烹、特に高級料亭では板前がその時々の仕入れ状況によって、新鮮な旬の食材をおまかせで提供するスタイルが少なからず見受けられます。こうしたお店に行く前に、ある程度旬の食材を調べて知識を持っておくと、何が出てくるかを大まかに予想ができますし、日々違ったメニューに予想が裏切られることもまた楽しみになります。

2-1.旬の食材は「ナス」「かぼちゃ」「きゅうり」「おくら」などの夏野菜が定番

夏に食べる小鉢はやはり夏野菜が用いられたものが定番で、夏野菜の代表的なものとしては、ナス・かぼちゃ・きゅうり・おくら・にら・トマトなどがあります。日本料理でよく用いられる野菜には、ナス・きゅうり・おくら・にら・かぼちゃが多いでしょうか。

夏の暑い季節にはこうした夏野菜を用いた小鉢を食べることで健康増進にもつながります。何よりも涼しげでさっぱりとさせてくれます。例えば、「きゅうりの浅漬け」や「かぼちゃの甘煮」、おくらと梅肉を長芋で和えたものや、にらとあさりのおひたしなどがあります。

おくらと豆腐を合わせたり、長芋とおくらとめかぶを和えたり、夏にぴったりの小鉢もおすすめです。

2-2.夏におすすめの小鉢の定番「酢の物」

暑く湿気の多い夏には食欲がどうしても減退してしまいますが、そうしたつらい季節にも食べられる料理の定番が酢の物です。酢の物はきゅうりやわかめなど夏野菜や海藻とも相性がよく、たこや海老、ちりめんじゃこなどの魚介類とも合うので、日本料理でもよく作られてきました。

「じゃこときゅうりの酢の物」「きゅうりとたこの酢の物」「きゅうりとわかめの酢の物」など、応用範囲も幅広く、ゴーヤやトマトなどと合わせるとさらに夏に合う逸品となります。

3.まとめ

銀座の割烹料理屋「佐々木」でも、都度新鮮な旬の食材を仕入れており、毎日違ったメニューを、完全に板前による「おまかせ」形式で提供しております。特に季節感にあふれた旬の食材にこだわっておりますので、お客様の「こんなものが食べたい」といった相談もお聞きしながら、好みに合わせたメニューをお作りいたします。

当店では20代の若い店員も働いています。受け継がれた日本料理の味を守り、受け継ぐ割烹でありながらも、これからの新たな割烹を創っていくための体制も整えているお店です。当店で、旬の食材をふんだんに使った彩のある小鉢もぜひお楽しみください。