「割烹」の由来は包丁と火? 言葉の意味と歴史を解説します
料理のジャンルとして、「割烹料理」があることをご存じのか、割烹料理の「割烹」とはどういった意味なのか分かる方は少ないのではないでしょうか。この言葉は調理に使う「包丁」と「火」に由来します。本記事では割烹の意味と料理としての歴史を解説いたします。
1.割烹料理の言葉の由来
割烹料理の割烹とは「材料を調理すること」を意味します。もともとは「包丁で肉を裂いて、火で煮ること」に由来しており、「割」が包丁を使って材料を割る(切る)、「烹」が火で材料を煮込むことを意味しています。割烹という言葉は一般的には日本料理の用語ですが、もともとは分野というより調理方法を指しています。 割烹料理は、包丁で下ごしらえした材料を火で煮込んだ日本料理を提供する店と定義され、高級な和食を扱った店を呼ぶ場合が多いです。
従来は肉や魚などの生き物を使わない精進料理、多い品数を少量でそろえた懐石料理など、日本の伝統的な料理を割烹と呼ぶこともあったようです。また、お座敷のような個室で日本料理やお酒を楽しむ「料亭」とは定義が似ており、「割烹料亭」という言葉も見られます。実際は座席形式で日本料理を楽しむ店を割烹料理店と呼びます。いずれにしても割烹という言葉の意味はシンプルでありながら、多くの日本料理店に使われています。
2.割烹料理の歴史
割烹料理という言葉は、江戸時代後期の江戸の料理に対し、上方、つまり関西地方の高級料理を挿す分野として使われるようになりました。
現在の割烹料理店にあたる座席で料理を楽しむ様式は明治時代後期とされています。座席という普段の食堂にも通じる気軽な雰囲気で高級料理を楽しむ様式は、当時の人々から大きな好評を得て流行しました。大正時代以降には割烹料理店の人気が大阪から全国へ広がり、現在に至ります。
3.割烹料理のメニューとは
割烹料理は基本的に日本をルーツとした創作料理が多く提供されます。また、店によってはメニューがなく、お客様の食事ペースや食べ物の好みなどに合わせて自由に料理を提供する場合もあります。
料理は和食系のものを中心に、魚介類や肉などの素材を生かしたオリジナル料理や丼物など多彩です。店によって異なるオリジナリティが表現された料理が見られます。
割烹料理店は食材の旬に対する意識が強い店が多いとされています。魚や野菜など、季節に合わせて常に旬の食材が集まるように仕入れています。これにより、お客様は好きな食材を最もおいしい状態で楽しめます。もちろん苦手な食材やアレルギーがある場合も遠慮なく店側に申し出ることができます。
飲み物の種類も豊富で、アルコール類は日本酒や焼酎などの和物に限らず、ビール、ワイン、ウイスキーといった洋物も充実しています。もちろん烏龍茶など酒類以外の飲み物も提供されています。
4.割烹料理店の店内は
割烹料理店は座席形式で楽しめる高級日本料理店と定義されていますが、座席がカウンター式になっているものが多いようです。もちろんカウンターに加えて通常の座席も採用した割烹料理店もあります。
高級料理店らしく内装が明るく気品があり、雰囲気が落ち着いたところが多いとされます。店全体が常に清潔で親しみやすく、お客様を歓迎しやすい雰囲気の店が多数です。カウンター席では料理人が注文された料理の作業をしています。魚をさばく様子や料理の盛り付けなど、調理過程を見られるのもポイントでしょう。普段のお店では味わえない上質な雰囲気の中で旬の食材をいただくことは、何物にも代えがたい魅力があります。
5.まとめ
割烹料理の「割烹」とは、もともとは調理方法を指す言葉で、「割」は包丁で材料を下ごしらえすること、「烹」は火を使って材料を煮込むことを意味します。ここから「包丁と火を使って料理をすること」を割烹といいます。
しかし江戸時代から大阪を中心にした座席形式で楽しめる高級料理店を「割烹料理」と呼ぶようになり、いつしか割烹は高級な日本料理を表す言葉として使われるようにもなりました。割烹料理店の雰囲気は親しみやすく、お客様が好きな食べ物を旬な状態でいただける醍醐味があります。
銀座の割烹料理屋「佐々木」では、メニューを設けておらず、お客様の好みに合わせた料理を提供しております。独創性にあふれて洗練された日本料理を味わいたいときは、「佐々木」までお越しいただければ幸いです。