割烹料理店で出されるご飯のタイミングは? 懐石料理と会席料理の違い
割烹料理店では、「会席料理」と「懐石料理」が振る舞われます。お店によっては懐石料理のみの場合もありますが、この二種類の料理はご飯の出されるタイミングが違うのです。懐石料理ではご飯は三度出され、会席料理では食事の最後に出されます。本記事では、割烹料理店で出されるご飯のタイミングに込められた意味についてご紹介します。
1.懐石料理と会席料理の違い
割烹料理では日本料理はもちろんのこと、懐石・会席料理も提供されます。読み方は同じですが、実は全く異なる種類ということはご存じでしょうか。まずはその違いについてご説明します。
1-1.懐石料理とは
懐石料理は、もともとは茶道が由来となっています。茶道の「詫び・寂び」の心を料理で表現しているもので、「旬の食材」「素材の味」「おもてなし」の三大原則に則って料理を提供しています。
茶道で大切な四季の移ろいや、道具の楽しさを知るのにも懐石料理はおすすめです。四季を感じられるように、旬の食材のみを使用して温かい料理が提供されます。そして、お茶の味が損なわれない優しい味付けが基本となっています。
味付けも濃くなく、脂っこいものも提供されないため、上品な味が好きな方は懐石料理を好みます。一汁三菜の和食を基本としており、現在でも各ご家庭で出される献立の基本にもなっています。
1-2.会席料理とは
懐石がお茶であるのに対し、会席はお酒を楽しむ料理です。料理を提供する方法も全く違い、ご飯や汁物は最後に提供されます。
(下記は一例。お店や料金によって異なる場合があります)。
- 先付
- 吸い物
- 刺身
- 焼物
- 煮物
- 揚物
上記の順に料理が提供されるため、一品一品をお酒の肴として楽しむことができます。特に細かい決まり事もなく、華やかな見た目と器の工夫すべてがお酒を味わうための演出です。もともとお酒の席に出された料理で、割烹料理店の多くが会席料理を提供しています。
会席は、特別な一日に食べられる料理として江戸時代に登場しました。日常とは違う贅沢な料理として振る舞われ、現在でも特別な日や会社の接待などで利用されています。
2.懐石料理のご飯の意味
懐石料理ではご飯が三度提供されます。はじめに、食事の最初に柔らかななご飯が出されます。炊き上がってすぐのご飯が、小さいお椀で汁物と一緒に出てきます。お店側の気持ちを表しており、「炊き上がったばかりのものを一口どうぞ」という意味が込められています。
二度目のご飯は一度目より蒸されており、三度目は十分に蒸されたご飯が提供されます。三度にわたって変化するご飯の風味を楽しめることが、懐石料理の魅力です。ご飯を炊くタイミングもすべて決まっているので、いつ食べに行ってもムラのないおいしいご飯が提供されます。
3.会席料理のご飯の意味
懐石料理で提供されるご飯は、最後の一度のみです。お酒を楽しんだ後に締めとしてご飯と一緒にお漬物や汁物も最後に出されます。懐石では原則として白米しか提供されませんが、会席料理ではお寿司や炊き込みご飯、混ぜご飯も提供されます。
現在では会席料理も懐石料理も、同様の意味に捉えられています。そのため、会席料理の楽しく自由なお酒の場でも旬な食材や素材の味わい、おもてなしの三大原則が受け継がれています。お酒を楽しみながら料理も楽しむといった現代ならではの献立は、お茶の心を受け継いだおもてなしの心ともいえます。
4.まとめ
割烹料理で提供される料理には、懐石料理と会席料理の二種類があります。同じ読み方ですが、茶道から生まれた懐石とお酒の場から生まれた会席は、本来は全く異なる意味を持っていました。しかし現在では会席料理が主流となり、懐石料理の提供方法は今ではほとんどなくなっています。一汁三菜の懐石料理を食べる機会はほとんど失われましたが、懐石料理は茶道の心を受け継ぎ、現代の形で親しまれています。
銀座の割烹料理屋「佐々木」では、お客様に合った旬の食材を使用した料理を提供しています。お客様の気分や状況に合わせた料理をご提供いたしますので、希望に合った料理の提供方法でおもてなしを行います。ぜひ、当店で洗練された割烹料理をお楽しみください。